インタビュー



 ◆『チワワ天使☆』 作者インタビュー  2014/06/24


・・・インタビュアー ( X )     ・・・作者 ( まつはらともふみ )


まずは、『チワワ天使☆』という作品が生まれたきっかけについてお聞かせ下さい。
 チワワのジョイ君の訃報を知って、僕自身がショックを受けた事と、それから、ジョイ君とぽぽちゃんのママ達が
かなりの精神的痛手を受けてる事が分かったから・・・でしょうかね。初めのきっかけは。

 
ジョイ君と ぽぽちゃんは、前作『おひざのぽぽちゃん』にも登場する、実在のワンコちゃん達ですね?
作者さんとしても、その辺は思い入れが強かったのでしょうか?
 ・・・そうですねぇ。
確かに、そうです。思い入れは、強すぎる程に強かったろうと思います。

僕はあの子達の親ではないけど、保育園の職員位の感覚はあったと思いますし。そりゃ、可愛くて仕方なかったですから。
本に描いてる子は皆そうですけど、自分の子供にも感じてるし、その子自身に同化してる部分もあって。
旅立たれた日には、それこそ、半身を千切られたような、半分死んだような・・・、
そんな感覚になってしまう所もあって・・・。

自分も死ぬ感覚を味わった・・・?
 ・・・まぁ、そう言うと、オーバーかも知れませんけど。
死というものを現実的に意識する事は、ありますね。確かに。
死後の世界とかを理屈で考える事はしませんけど、「今、死があるとしたら、こんな感覚になるのか・・・」って気分になる事はあるかなぁ。

 で、ジョイ君の事を考えてボーっと空を眺めてたら、何となく、ジョイ君が今考えてる事が分かったような気がして・・・。
半分冗談で、「テレパシー交信してる」みたいな事、僕も言ったりしてますけど、そんなマンガみたいなものじゃなくてね。
そんな都合良く便利に誰かの声が聞こえるなんて事は、ないですもんね。現実は、ね。
実際には、その子と何処かで波長が合った・・・というのかな?何処かで気持ちがシンクロした時に、「あぁ、そうか。この子は、この時、
こんな気分を味わってたんだな。」っていうのに気づくというか・・・。

そうした感覚が、天使ワンちゃん達の語る言葉一つ一つになっているんですね。
 そういう事・・・なんでしょうかね。
とにかく、僕も頭で考えてやってる訳じゃない・・・と言うと変かも知れませんけど、「勝手な作り話を捏造してこの子達がさもそう言ってる
ように仕組んでる」って話では無い・・・とは思うんですよね。
何処かでシンクロ出来た時に、「あっ!」って分かる事があって、脊髄反射みたいな感じって言うんでしょうか、
そんな感覚になった時に、その子達の言葉が「ブワァ〜!」っといっぱい頭に雪崩れ込んで来るような・・・。

 だから、『チワワ天使☆』の物語も、あくまであの子達(作中の天使達)の言葉で、作者の主義主張なんてものじゃなくて。
僕かやった事は、あの子達の言葉やその時々の気持ちを、あの子達のママに向けて、今この瞬間に伝えるべき所だけをなるべく正確に
伝えようと端的にまとめる作業だった・・・って言えるかも知れないです。

「今この瞬間に、伝えるべき所だけ」を・・・。
 何にしても、「余計な一言」ってものもありますし、ね。
あまりいろんな事を一度に喋り過ぎると、要点が伝わらなくなっちゃうし、誤解だって生まれるかも知れない。
あの子達だって、そんなに上手に言葉を伝えれてる訳じゃないと思うんです。断片的に、感覚的に、その時々の気持ちを意思表示してる
だけって言うか。
人間の幼児みたいなもので、四六時中一緒にいる母親でさえ、何喋ってるのか七割方分からない、って、そんな感じですかね。

 そういうのもあって、「あの子達はこう言ってました、ああ言ってました」って、言った事全てをただ並べるだけじゃ、やっぱり七割方は
何言ってるのか分からなくなってしまう。
だから、僕は「幼児心理に慣れた保育士」の役割を任されたつもりになって、あの子達の言った言葉を頃合いを見て上手く切り取って、
あの子達が「こういう風に伝えたかった」って形で翻訳してあげる・・・って言ったら良いのかな?そういうのは、あったと思います。

 それで、分かり易く翻訳した言葉を見たママ達が、「あぁ、そうか!そういう事だったのか!あの子達は、そう伝えたかったんだ!」って
正しく感じられるようにしたかった。
そういう気持ちで作ってた・・・と言うか、そう考えながらやらないと、「天使☆」本は描けないんですよね。

「天使☆」の本と他の本では、気持ちの持ち方は違いますか?
 他の本だと、そこに登場するキャラクターを自由に遊ばせてるって感覚ですかねぇ。
さっきの保育士の例えで言うと、「子供達がてんでに自由に遊べる時間」って感じで、もうリラックスしまくりな状態です。
要点をまとめて親御さんに伝えなきゃいけないってプレッシャーもないし、そういう意味では楽な所がありますね。

 子供達は、もう、放牧状態。
好きに遊んでて良いよ〜♪、みたいな感じで。
結構、言いたい放題、やりたい放題にやらせてる感覚はあります。

 そういう所で言うと、僕の他の本は「子供達の自由時間風景」を描いたもので、天使本は「親御さんへ渡す託児所日記」って
感じで別けられるかも知れませんね。

ああ、なるほど〜。
「親御さんへ渡す」となると、大変そう・・・。
 ですよね。(笑)
その分気を遣う所もありますし、子供に語り掛けるだけでは駄目な部分がありますし。
ましてや、子供を見送って泣いてる人に対しては、気を遣い過ぎる位使って丁度良い位な気がしますし。
デリケートな部分はちゃんとケア出来てないなら、例え面白い事でも描いてはいけないって気分もあります。

 それは、天使っ子達に対しても、そう。
安易に面白おかしく描いて良いってものではないですよね。
「御仏に失礼の無いように」という考え方・・・と言うと宗教的だと誤解されるかも知れませんけど、亡くなった者に対する話ですからね、
そういったものは、やっぱり、最低限、必要になって来るだろうと思います。

「天使」の話は、やはり、真面目な話になってしまいますね。
 そうですね。
読まれる方には、肩肘張らずに楽に読まれて欲しいんですけど。
描く方は、まず襟を正してから・・・って所ですよね。

 その上で、辛気臭くならないように。
ちゃんと前向きに、顔を上げて暮らして行けるような、そんな物語になっていないといけないだろうな、と。
そうでないと、誰のためにもならない。

 
ためになる物語が『チワワ天使☆』である!、という事ですね。

 
 そうなっていれば、良いなぁ、と。(笑)
自分で自分の姿は見えないように、自分の描いた本も、本当に客観的に見切れるか?と言うと、
やっぱり、それは難しいですから。
まぁ、「ためになる」と読まれた方が解釈して下さると、描き手としては、報われた気持ちにはなるんですけどね。

では、最後に、読者の方に一言、どうぞ。
 『チワワ天使☆』を購読された皆様、ありがとうございます。

 『チワワ天使☆』には、ジョイ君やアポロ君の他にもいろんな犬天使が登場します。
犬いの方には身近な犬種もいたかも知れませんし、性格的に似てた子もいたかも知れません。
自分の身近な子と重ねて見ていただけると、新しく気づく「その子の声」みたいなものも在るかも知れません。
自分と自分の子供のストーリーを、本の中に見出していただけると、また幸いに思います。

 書籍はまだ読まれてなくても、このホームページを閲覧された方には、
興味を持っていただけたなら、ぜひ、一度読んでいただけたらなと思います。

 どうぞ、宜しくお願い致します。