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今回の新作『うきゃうきゃ♪ポメたん』は『ポメ』のリメイクという事ですが、
まず、この度この作品をリメイクしようと思ったきっかけは何だったのですか? |
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『ポメ。』の第1巻を描いたのは2004年。
僕にとっては絵本漫画の処女作でした。
当時はまだアナログ手描きしてて、後からスキャナーでパソコンに読み込んで
文字入れから編集作業までやってたんですよね。
それ以前には僕も十数年間の商業漫画雑誌仕事のキャリアはあったんですけど、
フルカラーで絵本を作る仕事の経験は全然無かったんで。
ああでもない、こうでもないって、手探りでやってた状態でした。
2012年後半の今は僕も絵本漫画を電子書籍で59冊作って来たので、
まぁ、それなりに経験も積めてるから・・・なんですかね?
今になって、初期の作品を自分で見直してみると、いろいろとアラが見えて来るん
ですよね。
それで、もう、単純に「直したいなぁ」、と。
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昔の作品に手を入れたいと考える作家さんは時々いらっしゃるようですが、
それだけ思い入れが強いという事なのでしょうか?
新作を作るという以上に。 |
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思い入れは強いんでしょうね。
描き手にとって、描いたものは自分の子供みたいなものですし。
それに、新作を作るより旧作を作る方が単純に作業が速くなるっていうのは
ありますね。
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それは、物語がすでに出来上がってるものだから? |
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そうですね。
それも、全部自分で作ってたものなんで、それを作り始めた動機とか作ってる時の
事情とか、制作側の味わう苦労は全部知ってる訳なんですよね。
作品を作るという作業は生みの苦しさによく例えられますけど、やっぱり苦労を重ね
ながら進められてくもので、それは大前提としてあると思うんです。
一つ苦労の山を越えたら、すぐ次の山が来る、って感じで。
それで、自分なりの「山一つの越え方」が分かって来ると、次にその山に出くわした
時にはそれを超えるのが随分楽になるというか。
「山越え」だから体力的にはやっぱり苦労ではあるけど、精神的には随分楽ですよね。
そういう意味で、仕事が早くなってるって事です。
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という事は、リメイク作品でも、新作と同じ様に大変? |
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ですね。
ただ単に「右から左へ描き写す」ってだけだったら、それは楽でしょうけど。
それだったら、わざわざやらなくても良いんじゃないかって思いますし。
と言って、「新しい自分意見を作品につけ加えて、まるっきり別作品に作り上げてしまう」っ
ていうのも、ちょっと違うような気がするので・・・。
旧作『ポメ。』にもありがたい事に購読者さんが在って、「楽しい」って言っていただけて
ましたので。その人達の中には、その人達の抱く「ポメ」のイメージがあると思います。
そこで、僕が作者だからと言って、その人達のイメージを無視して自分勝手に作り変えて
しまうのは、いけない事だと思うんです。
書籍というものは、出版した時点から作者の物じゃなくて購読者の物になるんだとも思い
ますし。作り手が傲慢な気分でやってはいけないのが、作品作りというものなんじゃないか
な、と。
そんな気持ちが強かったので、手を付けちゃいけない所は絶対にイジらない事を鉄の掟
と自分の中で決めて、あくまで自分の領域内で出来る事を最大限にやって行こう、
と思いながら、やってました。
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それでは、旧作と新作で一番変わった所というのは、どんなものでしょう? |
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旧作と比べると、作画が少しはマシになった所?(笑)
まぁ、技術的な話は置いといて。
キャラクター設定は、細かい所でちょっと変えています。
まず、「ご主人」たんに顔が描いてある事。
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旧作『ポメ。』では、「ご主人たん」はノッペラボーでした。(笑) |
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そうそう。(笑)
「ポメは、人間の顔なんて見てないから。」って理由つけて、顔描かなかった。(笑)
でも、実は「ご主人たんというキャラが作者の分身でもあったから、自分の顔を画面に描き
たくなかった」って理由も密かにあったりしたんですよね。
でも、そういうのはあくまで描き手の事情であって、読者には関係ないんで。読んでる人から
すると、「何で、顔描いてないの?」って思ったりもするかなぁ、と。
それで「感情移入しづらい」と思われると、ちょっとマズイなぁ、と。
そういうのを『ポメ。』では反省する気持ちもあったりしたんで、『うきゃうきゃ♪ポメたん』では
「ご主人たん」に顔を描き入れました。
その辺では、マイナー作品『ポメ。』とメジャー調の『うきゃうきゃ♪ポメたん』っていう色分けが
出来たかなぁと、作者的には勝手に思ってたりもします。
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後、『ポメ。』とは性別が変わってるキャラクターもいるようですが? |
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そうそう。(笑)
セキセイインコの「チビ」と、脇役の「猫たん」ね。(笑)
チビは『ぱたぱたジミー』にも登場するんですけど、その中でメスに代えちゃったんです。
それ以前は、ずっとオスだって事にしてたんですけどね。
チビも僕が少年期に飼ってたインコをモデルにしてたんですけど、実は性別がずっと分からない
ままだったんですよ。
小鳥は性別が分かりづらいし、僕もその辺気にしないボーっとした性格だったので。(笑)
「卵産まなかったから、オスかな?」位にずっと思ってたんですけど、物語に登場させる段階に
なってよく考えてみると、「チビ」はインコのオスがよくやね物真似喋りを全然やらなかったとか、
メス疑惑が自分の中に出て来て。
そうすると、今度は、「チビ」がメスにしか見えなくなって来たんです。
その辺いいかげんではありますが、「チビ」も没後からかなり年月が経ってて記憶が風化してる
し、絵本漫画のキャラクターとして新しく生まれ変わったんだと考えて、今のイメージのまま「メス」っ
て事にして『うきゃうきゃ♪ポメたん』でも描いてるんです。
これが主人公の「ポメ」だったら、性別を変えたら大変ですけどね。
旧作『ポメ。』では「チビ」は脇役だったし、購読者の人でも気づいてる人は少ないんじゃないかなと
思って、そこは変えてしまってます。
「猫たん」も、同じような理由ですね。
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『ポメ。』では絵がアニメ調な感じでしたが、『うきゃうきゃ♪ポメたん』では水彩画風に
仕上げられていますね? |
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『うきゃうきゃ♪ポメたん』を含めて近年僕はPCで作画してるんですけど、『ポメ。』は1〜4巻の
頃はアナログの手描きで作画してたんです。
それをスキャナーでPCにデジタルデータとして保存して、その後PCで編集作業をして電子書籍化
するってやり方をしてました。
当時の僕はデジタル作画が出来なかったんで、手慣れたアナログ手描きをやってたんですよね。
それでも、スキャナーって機器をPCに繋げばPCに取り込めるって事が分かってからは、
「これなら自分一人でも書籍制作が出来るぞ!」と思って、初めはそういう方法から入った訳です。
僕は漫画雑誌でアシスタント時代から彩色原稿の仕事を結構やってたんですけど、アナログ漫画
のカラー彩色は透明水彩絵の具・・・小学校の図画で使うやつですね、それを使うのが一般的です。
紙に描いたペン画に不透明な絵の具で彩色すると、線画がつぶれちゃいますからね。
つぶれた線画は後から修正する事は出来るけど、〆切りまでに膨大な枚数描かなきゃいけない仕事
ではそんな余計な手間はとてもじゃないけど掛けててられない。
なので、比較的短時間で量産が効くものとして水彩絵の具を選ぶしかなかったんですけど、僕として
もこの画材は嫌いじゃなかったんです。
淡く柔らかい絵に仕上がるんで、人受け良い気がしますし。
それで、『ポメ。』も描き始めた時には、画用紙に透明水彩で色塗りしてみました。
ところが、そうして仕上げた絵をスキャナーでPCに取り込んでみたら、これが具合が良くなくて・・・。
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あ。スキャナーで取り込むと、原画より汚くなっちゃいますもんね。 |
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そうなんです。余計な影や細かいホコリとか、目に見えないものまでいっぱい写っちゃってて。
色も実際の色合い通りにはいかないし、ひどくくすんでモヤがかかったみたいになっちゃって・・・。
だから、スキャナーで取り込んだ絵の場合はPCソフトで加工しなきゃいけなくなっちゃう。
でも、それがまた時間が掛かっるし、作画作業的にはつまらない所でいちいち余分な手間も増える。
頑張って手間かけてみても、何かいかにもPCでイジりましたみたいな絵になっちゃって、結局、
自分がイメージしてたものとは程遠い仕上がりにしかならなくて。
特に水彩画特有の淡いぼかしが全然再現できないのが不満で、一度自分の中でキレちゃって。(笑)
で、色の淡いボカシ彩色仕上げは諦めて、開き直ってアニメ調のベタ塗りみたいに変えてみました。
ベタ塗りは手描きだとかえって面倒だけど、PCなら簡単にできちゃいますからね。
そういう訳で、『ポメ。』や『フェレフェレ☆ま〜ぶる』がアニメ調彩色になってたのは、その辺の製作上
の都合が大きかったです。
ほとんど妥協の産物でしたね。
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・・・・なるほど〜。その辺は、聞いてみないと分からないものですね。
では、アナログ水彩画でイメージ通りに仕上がっていたなら、『ポメ。』も初めから水彩画で
登場してたんですね? |
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そうですね。
僕はアナログ世代なので、手作業に馴染みやすい方法を選びたいですもん。
特に手慣れた技術があれば、それはそちらを選びたいですよ。
でも、今ある環境化で作業的に無理のあるものはNGにしなきゃいけないし、苦渋の選択ですね。
PCで作画作業を始めて、最初はアナログでの作業の3倍以上は時間掛かってた気がします。
紙に描いた下絵を一枚一枚手作業でスキャナーに置いてPCに取り込んで、保存作業をして
それを作品一本分の数十枚分を繰り返し。それから、PCソフトでゴミ取りだ何だと加工作業して
・・・それだけで作画時間と同じだけの手間が掛かりましたし。
「これで食べて行ける仕事になるか?」って考えだすと、選択肢を間違えたんじゃないかなと
悩んだものでした。
・・・まぁ、製作現場の愚痴ですけどね。(笑)
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・・・・なるほど。いろいろと御苦労されてたんですね。 |
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いえいえ。(苦笑)
それは、皆さん、そうでしょうから。(苦笑)
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『うきゃうきゃ♪ポメたん』も「第2巻につづく」となっていましたが、また続編を描くご予定は? |
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そうですね。時間や諸々の環境が許す範囲で、なるべく描き続けたいと思ってます。
何せ身一つでやってる事だけに、これから先の確かな事は何も分からないんですけど。
「描きたい!」って気持ちだけは常に前面に出して、筆を持てる限りは持ち続けようと考えて
ますんで。
まぁ、何とか、そういう気概でやって行こうと思ってます。
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最後に、読者の方々に 一言お願いします。 |
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『うきゃうきゃ♪ポメたん』は、『ポメ。』のリメイク作品ではありますが、初心に帰る思いで、
また一から新作を作ってる位の気持ちで制作致しました。
旧作『ポメ。』を読まれた方も、また「ポメ」に会いに来てくださると嬉しいです。
『ポメ。』を読まれてない方も、これを機に「ポメ」の友達になってくださると、また幸いです。
どうぞ、よろしくお願いします。
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本日は、ありがとうございました。 |