|
『ひよこでしゅ。』の企画意図は、どういったものなのでしょうか? |
|
企画意図というものは、とりたてては ありません。
半分遊びで描いたキャラ達が、元気良く遊び回る子供に成長してたから・・・でしょうかね。
偶然そうなったものだから、その偶然の流れに乗ってみよう!と思ったってだけの話です。
|
|
「ネコむすめ」には、モデルがいるそうですね? |
|
ええ。三人、個別にいます。
その人達のイメージをミックスしたような形で生まれたのが、
『ひよこでしゅ。』の中の「ネコむすめ」です。
|
|
「ネコむすめ」モデルのお一人は、足に少し障害があるそうですが? |
|
そうですね。
両足首にサポーターみたいな固定器具をつけてる女の子でした。
歩き方が少しヒョコヒョコした感じで、周りは「障害者」という目で見る人が多かったようです
が、その子自身は優良健康児童でした。
転んでも、泣かずに起き上がる。楽しければ、ニコニコ笑う。
そんな子です。
|
|
「ネコむすめ」に障害はありませんが、性格はそのままですね。 |
|
変に「感動裏話」みたいにしてしまうつもりもありませんし。
それに、その子が傷害者だなんて、僕は思ってませんから。
ただ少し歩くのに不便な所がある、ってだけの話で。
「障害」ってものがあるとしたら、それは「周りの人間の意識レベル」の問題でしかない
と思います。
だから、「ネコむすめ」は、あくまで「元気な子」。それだけです。
|
|
「トラさん」は、やっぱり、某キャラクターのパロディですか? |
|
ですね。
これは、誰が見てもそうだと思いますけど。(笑)
「映画【寅さん】にかけてるの?」って訊かれた事もありますけど、それとは違います。(笑)
|
|
「トラさん」はマスクマンな謎のヒーローっぽいイメージですが、
「まつはら漫画」にはヒーローがよく登場しますね? |
|
単純にあこがれなんでしょうね、「正義の味方」という響きが。
僕の描いてるのは、国民的ヒーローとかそんな大仰なものじゃなくて、もっと身近な
「ヒーローもどき」ですけどね。
見た目はカッコ良さとは程遠くても、何かちょっとだけカッコ良く見える瞬間がある人。
大っぴらには言えないけれど、実は密かにヒーロー視してた、って人。
「子供の目から見た、一番身近なヒーロー」、って所でしょうか。
で、僕の場合は、それが何かズッコケてる程、愛すべき存在に思えて来るというのが
ありまして。それで、あんな感じの「ヒーロー」になってるんだと思います。(笑)
|
|
「ネコお姉様」は何でしょう? ヒロインではないような・・・。(笑) |
|
何でしょうね。(笑)
これは完全にその場の勢いで飛び出て来たキャラクターで、全く何にも考えてません。
描いてる僕としてはとにかく初出の印象が強烈だったので、本編に登場させざるを得なかった
という感じです。(笑)
『ひよこでしゅ。』が実際に今の作風に固まる前の「草稿時点」では、この「ネコお姉様」は
「ネコむすめ」の実姉という設定だったんです。
その時は、ネコむすめは姉と二人暮しで、両親はいない事になってました。
でも、それでは何か暗くて物悲しくなってしまうので、設定し直したんです。
|
|
それは、また、今の『ひよこでしゅ。』では考えられない設定ですね。 |
|
ええ。初めの「ひよこたん」なんて、両親も家族もいない、天涯孤独の子っていう設定でした。
花を手にした「ひよこたん」がテクテク歩いてるんで、「ネコむすめ」が後をつけて行くと、
ついた先はお墓。
そして、ひよこたんが花を供えたその墓は、彼の両親のものだという事にネコむすめは気づく。
・・・・っていうストーリーだったんです。
|
|
・・・・・それは、哀しい話ですね。 |
|
ですよね。
その第一稿を書き上げて、自分で見直してみた時に、「うわっ、ヤだな」と思いました。
それで、もうその話は完全にボツにして、明るい話に作り直す事にしたんです。
ただ、一度イメージしたものを作り変えるというのは、簡単じゃなくて・・・。
どうしたら良いか思い浮かぶまで、半年位悩んでましたね。
|
|
どういうきっかけで、今みたいな話ができたのですか? |
|
きっかけ自体は、忘れました。(笑)
ある時、急に、ポロッと出て来たような感じだったと思います。
それこそ、その時は、憑(つ)き物でもとれたみたいな感じですね。
「産みの苦しさ」というものでしょうか。
|
|
・・・・なるほど。『ひよこでしゅ。』も、でき上がるまでは、それなりの
苦労があったという事ですね。 |
|
そうですね。それなりに。(笑)
だから、可愛くもあるんだと思います。
|